Vol.11

新宿に「Mme.CIRQUE/マダム・シルキュ」(※1)という店がある。
流行通信などで活躍されているクリエーターの〝青木むすび〟(※2)とコラボレーションした。むすびさんとは、ひょんなことから知り合いになったのだが、彼女のシュールでロマンチック、グロテスクでキュートな世界観?にやられた。

 

そのころ、僕の新宿のイメージは、「その時代にあった才能を乗せてぐるぐる回り、流行が過ぎると吐き出していく巨大観覧車」と「唐十郎の芝居・テント小屋」であった。店作りにあったって、むすびさんにお伝えした最初の切り口だ。
そのころむすびさんはご自身で、「サーカス」をテーマに作品を作っていて、奇しくも目指す世界観がシンクロしていたのもなにやら運命的なものを感じた。
そうして出来上がったのが、最高に怪しく・美しく・楽しい「Mme.CIRQUE/マダム・シルキュ」の世界だ。


オープニングレセプションには、「マヤ・バルーとちんどんブラス金魚」にパフォーマンスをお願いした。
ポトマックには「fish for music」音楽レーベルがある。常に音楽とともにある僕たちとしては、当然のように社内にそのような機能が必要であった。様々なアーチストのライブ、サポートをし、音楽制作をしている。ポトマックすべての店舗の音楽は、「fish for music」でセレクトされたものだ。
http://fish-for-music.com/index.html
その「fish for music」の古くからの友人が、“マヤ・バルー”だった。
そして、なんと、“マヤ”は、あの“ピエール・バルー”の愛娘なのだ!


“ピエール・バルー” (※3)

 

ヌーベルバーグのはみだっし子映画、クロード・ルルーシュ監督「男と女」(※4)。
その中で初めて聞いた“ピエール”のボサノヴァ「Samba saravahノ」。囁くようにつぶやくように紡ぎだされるメロディー。ブラジルの神々への讃歌。なぜか、アフリカのサバンナを低空飛行で疾走するハングライダーになった気分になる。
店を始めたころからピエール・バルーの音楽は常に僕たちとともにあった。
食器を洗うヒマもない忙しい時も、雨がそぼ降る暇な夜も、朝の準備中にも彼の音楽を聴いてたような気がする。意味もわからないフランス語の響きを、歌詞カードを頼りに追いかけたりもした。
マダムシルキュ、オープニングレセプション、たくさんの人がお祝いにやってきてくれた。
「マヤ・バルーとちんどんブラス金魚」のパフォーマンスが最高、大いに盛り上がった。

 

そして・・・

 

彼がやってきたんだ!
自転車に乗って!
そう、毛むくじゃらの子供。
“ピエール・バルー”

 

夢が一つ叶った夜でした。

 

In-職hyperでの掲載もこれで最後になります。支離滅裂なお話にお付き合いいただき、ありがとうございました。これ以降は、当社株式会社ポトマックのホームページにて、性懲りもなく「ねじれのん」をアップし続けていきます。これまで通り私の大好きなサブカルチャー的な話もありますが、飲食業を経営していく悩み・喜びや、成功や失敗のエピソード、ちょっとした飲食業の裏側を赤裸々に綴っていこうと思っております。
ご興味のある方はのぞいてみてください!
http://www.potomak.co.jp/