Vol.13

新型インフルエンザ騒動では、たくさんの皆様に、ご心配おかけしました。また、励ましのエールをいただきました。心から感謝しております。本当にありがとうございました。
皆様の温かさを胸に、スタッフ一同より良い店つくりに心を込めて行きます。



2009年6月30日。
ピナ・バウシュの訃報が届いた。

こんなタイミングでピナのことを書くとは思いもよらなかった。
ピナ・バウシュの存在は、言葉にできないほど大切なものだった。

東京の恵比寿TOOTHには若き日のピナの写真が飾ってある。
少し悲しそうな、それでいてこちらの魂を真っ直ぐに突き抜けていく彼女の視線。

最後に彼女を見たのは2008年、東京新宿文化センターでの「フルムーン」。
いつものことながら意識の蓋の鍵穴に鍵を差し込まれた。
ありのまま自分自身の奥底に沈む心の吐瀉物を吐き続けた。
解放される恐怖と包み込まれる多幸感。

たくさんのピナの作品に触れました。
「カーネション」「過去と現在と未来の子どもたちのために」「バンドネオン」「ネフェス」。そして、日本、さいたま芸術劇場との素晴らしい軌跡、「天地」。
「カフェ・ミュラー」でのピナ自身の踊りも忘れられない。

世の中には、まったく言葉が追いつかないというものがある。
無理なのだ。ピナ・バウシュとヴァパタール舞踏団を経験したことを語るのは。


ありがとうピナ。
心より追悼致します。




明けの明星よ、
あなたの澄んだ光であのひとの足元を照らしてください、
出稼ぎに行った私の恋人の足元を。
ひとりぼっちの私から遠く離れたところにいるあなた、
たとえそれがどんなに大変だとしても、
この明けの明星を目印に戻ってくるようにと、
どうぞあの人に伝えてください。

「ネフェス」より