Vol.20

神戸旧居留地に新店舗がオープンする。「YURT/ユルト」っていうカフェ。
コンセプトは西海岸。また、「西海岸かっ!」って言われそうですね。
まぁ、それくらい色んな意味で“価値観の更新”を余儀なくされた旅だったからなぁ。

それまでの僕は・・
総じてアメリカ文化圏=ジョージ・ウォーカー・ブッシュ〜アホだと思っていた。
カルフォルニアに至っては、二種類の人間しかいないと思っていた。
裏ごしされたスープのように、脳みその表面が滑らかになってしまった、薬中毒のハリウッドセレブか、
裏ごしされる前のごつごつ野菜が脳みそに詰まった、ハリウッドセレブに憧れるイモとトウモロコシか。
そんな輩がプールサイドに櫓を組んで、カルフォルニアロールと称した巻きずしもどきを片手に、踊り狂ってるイメージがあった。
そんな酒池肉林な西海岸を旅すれば、シュワルツネッガーの指示のもと、ハリウッドで金を巻き上げられ、ラスベガスで金を毟しり取られ、ロサンゼルで三浦和義に間違われ“terminate/ターミネート(抹殺)”されると恐れていた。

“おフランス”で“アンニュイ(古っ)”な自分を演出してきた?僕とすれば、周囲の人々のイメージ形成も出来上たこの歳にもなると、米国文化を憎みこそすれ共感するには、“売国奴”に等しい報いを世間様から受ける気がしていた。

“価値観の更新”って遠まわしに言ってるけど、この際あっさりとカミングアウトします。
「アメリカさまぁーっ、ずーっと好きだったんだぜ!バカやろー!最高—!」

深呼吸。気を取り直して。

ハイデガー(※2)によると人間は「関心」により、生きる指標を得ていると言います。「関心」とは、人間にとって、美しいものへの関心、美味しい食べ物への関心、美しい人への関心、神への関心等、様々な関心、言い換えればそういったものへの“憧れ”を持つことです。それは、カント(※3)の“真・善・美”といった、人間の感性?本質で、求めているものでしょう。人々が、それぞれ異なる“真・善・美”へ触れた場合、これを感動という表現になります。


どう?

ある人は、人生での財産とは「感動と経験」だと言います。
究極言うと、僕ら、「感動」するために生きているのかもしれませんね。
「感動」のない世界って退屈でしょうね。
生命力のない、目標の持てない、ただ生きているだけの世界ではないでしょうか。
「感動」するために、あらゆることを「経験」しようとするのでしょう。
ですから、僕たち飲食業の人間は衣食住遊を通じて、見る聞く嗅ぐ味わう触れるといった五感で感じることは勿論、第六感を震わせるような体験をたくさんすることが大切だと思ってます!

僕たちが感動した西海岸の気持ちよさを「YURT/ユルト」では表現できましたー。
偏見も固執も難しい話もひとまずポケットにしまって、ブッシュさんも、ハイデガーさんも、カントさんも、三浦さんも、シュワちゃんも、“ゆっるっと”風に吹かれる経験をしてほしいお店です。

YURT/ユルト:神戸市中央区江戸町101番地 三共生興スカイビル1F