Vol.13
先日、素敵な絵本が送られてきた。『ねじれのん』の中で対談させていただいた画家“寺門孝之”氏の初めての自作絵本。『ぼくらのオペラ』(注1.)と題されたその絵本は、“テラピカ・ワールド”全開だった!人も虫も動物も妖怪も神様も海も空も星も太陽も地球も宇宙も悲しみも喜びも「生きとし生けるもの」、「存在するものすべて」が、こぼれおちるほどの色の洪水と大合唱に、飲み込まれてしまう一大叙事詩!うひやぁー!怖いよぉー!
「こりゃ絵本のイグアスの滝や~」。いえいえ、とっても可愛い絵本ですっ!

イグアスの滝ということで・・・ブラジル(無理やり)。
豊かな色彩や新しい表現ということで昨年末、東京都現代美術館で開催された『ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力』が面白かった。サンバとサッカーのイメージが強かったブラジルなのだが、こんなシーンがあったの?という新発見!多民族国ブラジルの生々しい「生きる喜びにあふれた」エネルギーが満ち満ちていた展覧会であった。『オスジェメオス』という双子兄弟デュオの作品、“流れ星を食べていた魚”という巨大な作品には心が躍った。漫画ワンピースに出てくるようなキャラクター?だったのが、親近感が持てたのかしら?とにかくとってもユニークな世界観。Ole!Ole!

二人組ということで・・・(無理やりやり)。
『トゥクラール&タグラ』(注2.)というインド人デュオの作品もおもしろいよー。
作品は、洗剤のプラッチック製の容器を大量に組み上げて作った巨大な恐竜。
容器のラベルにはヒンドゥー語で「バカヤロー」って書いてある。
“キッチュでポップで知的”。キューブリックの映画「時計じかけのオレンジ」のように!
たっぷりとねじれたスパイスを脳みそにすりこんでナマステー。

“キッチュでポップで知的”といえば・・・(無理やりやりうりゃうりゃ〜ぁっ)
今年入ってからの僕の洋楽No.1!のご紹介。
『METRONOMY』という英国のアーティストのモダン・ポップなアルバム。
「ニュー・ウェーヴ」(注3.)という懐かしい響きのジャンルがある。1970年代から1980年代にかけて、パンクロックに続くジャンルとしてイギリスから生まれた。高校生だった僕には刺激的で、洋楽信仰を決定的にしたのが「ニュー・ウェーヴ」であった。もう、目茶苦茶に聞きまくった。ニューオーダー、ジャパン、アズティック・カメラ、スミス、ウルトラボックス、XTC、コクトー・ツインズ、ポリス、スタイル・カウンシル、スペシャルズ、マッドネス、バウハウス、ドゥルッティ・コラム、ディーヴォ、トーキング・ヘッズ・・・・
破壊的なほど無邪気に新しいものを作ろうとする勢い、面白がって作ってる感触・手触りに、すっかりやられてしまった。そんなドキドキ感を久しぶりに感じたのが、ひねくれたポップ・センスと抜群のサウンド・センスの『 METRONOMYの“Night Out” 』だった。

“Night Out”とは、夜遊びって意味があるらしい。
いかした女の子たちへのアプローチが失敗した、冴えない男の子達の一夜。
ファミレスでの反省会。男仲間と迎える寂しい朝。男なら一度は経験したトホホな光景。
失望を重ねるうち、予定調和なコンビニエントな大人になっていくのかな?
物分かりのいい、つまらない大人なっていくのかな?

世の中は政治の混迷と世界的な金融恐慌。TVをひねっても暗い話ばかり。
もしくは、おバカネタばっかりで辟易。そんな陰鬱でアホな空気に惑わされてはいけない。

僕たちが手に入れるべきものは、「生きる喜び」「存在の手ごたえ」を感じさせてくれる、
「新しい自由な表現」
なのだ。それは僕たちに元気と希望を与えてくれる。
真実があり、良き世界へと導く道しるべであり、美しき挑戦なのだ。

さぁ、きょうもドキドキを求めて夜遊びに繰り出よう。